こんにちは♪
子供と一緒に、ヒルマ・アフ・クリント展に行ってきました。
感想から先にお伝えしますと、めちゃくちゃ良かったです!大感動!!
映画CMみたいなタイトルを付けてしまいましたが、本当に私史上1、2を争うぐらい良かった!
私が抽象画が好きだから、というのもあるかもしれませんが、アフ・クリントさんの絵に込められたメッセージがすごいのと、今この時代になってブレイクしたという、まるでそのメッセージが世の中に放たれるタイミングを見計らっていたかのような、神がかったストーリーがすご過ぎて、本当に観れて良かったと思えた展覧会でした♪
アジア初上陸です!気になる方は、6/15までなので急いでくださいね*
開催場所は「東京国立近代美術館」なので、竹橋駅が最寄りですが、隣の九段下駅で降りて、皇居外苑の北の丸公園で遊んでから向かいました。
九段下駅で流れる玉ねぎの歌?が聞けて嬉しい^ ^
すぐ近くに科学技術館もあるので、子連れできても1日遊べそうですね!
公園内の池にたどり着くやいなや、大きなカラスのような鳥(速すぎて分からなかった…)が、ファサファサーっと私たちの真横を通り、向こう岸の木々に消えていきました。
ジブリの「君たちはどう生きるか」のワンシーンを思い出しました 笑
そしてその後すぐに、ス〜っと優雅に1匹の鯉が近づいてきてくれました。
口をあけてエサを欲しがることもなく、静かにゆっくり泳ぎながら、私たちが離れるまでずっとそばに居続けてくれました。
なんだかその姿がスマートというか、どこか気品があって、さすが皇居近くの鯉は違うなぁなんて思ってしまいました^ ^
ちょっと写真がごちゃごちゃしていますが、お腹が空いたので、武道館の近くにある「CAFÉ 33」というカフェで、お昼ご飯を食べてから向かいました。プリンがとても美味しかったです!
お弁当を持ってきて、北の丸公園でピクニックするのも良さそう♪
使い捨て製品はなるべく使わないようにしていますので、お出かけの際はいつもマイボトルを持ち歩きますが、この日は気温が高くてお水がなくなりそうでしたので、店内の紙コップでお水をいただきました。コーヒーのストローは、店内で飲むぶんには不要なので、フタを開けて飲みます*
窓際の席でいただきましたが、外の木の上でたくさんのアオスジアゲハが、綺麗に列をなして飛び交っていて、まるで美しいショーを見ているかのようで楽しかったです^ ^
そういえば、ロートレック展の時にも見かけていましたね↓
緑豊かな公園内を通って、美術館までお散歩です♪
そんなに遠くないので、子連れにはちょうど良い距離◎
作品の写真撮影は可能ですが、ブログやSNSに投稿する際には、作品名、作者名、所蔵先を記載しないといけないため、写真下に「作品名/作者名/所蔵先」の順番で記載します。
〈右〉フォルム研究、螺旋階段、光と影〈左〉フォルム研究、スタッコ・ロゼット / ヒルマ・アフ・クリント / ヒルマ・アフ・クリント財団
中に入ってまず思ったのは、アフ・クリントさんは、めちゃくちゃ絵が上手な人だなぁということ。
今まで見てきた世界的に有名な画家さんでも、作風は好きだけど、スケッチや写実的な絵となると、上手なんだけど「ちょっとここが歪んでるな〜」など、いろいろと思ってしまうこともあるのですが(私より遥かに上手いことは明らかなうえで…)、アフ・クリントさんはそれが全くと言っていいほどない!
夏の風景 / ヒルマ・アフ・クリント / ヒルマ・アフ・クリント財団
うますぎ〜 空の色も素敵です♪
なんというか展覧会を見終わった時も思ったのですが、アフ・クリントさんの絵って、バランス良く品よく正確にいい感じに抑えていて、いろいろ上手い!みたいな感じ??
子供みたいな説明ですみません^ ^
ユリ、シャグマアミガサタケ、ニシインドコキュウリ、ブルーベル、ブタナ、ヒメナデシコ、オウシュウマンネングサ、ポピー / ヒルマ・アフ・クリント / ヒルマ・アフ・クリント財団
全体的に草花などの植物や、
クリスマスプレゼント / ヒルマ・アフ・クリント / 個人蔵
十字架が登場する作品が多いです。
書籍『てんとう虫のマリア』のためのスケッチ / ヒルマ・アフ・クリント / ヒルマ・アフ・クリント財団
アフ・クリントさんは、児童画の挿画も手がけていました。
精神世界に関心があったアフ・クリントさんは、キリスト教や神智学の教えを融合したエーデルワイス協会の一員となり、そこで親しかった4人の女性と「5人(De Fem)」というグループを結成し、交霊会を行い霊的存在からメッセージを受け取り、自動書記や自動描写によって記録しました。
「5人」無題 / ヒルマ・アフ・クリント / ヒルマ・アフ・クリント財団
交霊会って一体…? きっと昔の私なら、怪しげな協会に入ってヤバそうな活動をされていたのかな…なんて思ってしまったかもしれませんが、これは今でいう「チャネリング」というやつではないでしょうか。
数年前から見えないものが見えたり、声が聞こえたりするようになってしまった現在の私としては、特に怪しげな活動だとは感じませんし、霊とは一般的に言うオバケではなく、神様とか宇宙人とか、自分の魂などの見えない存在のことをさすのではないかと思います。
原初の混沌、WU 薔薇シリーズ、グループⅠ / ヒルマ・アフ・クリント / ヒルマ・アフ・クリント財団
アフ・クリントさんは青に女性性、黄に男性性を付与しました。
ここでのWUは、物質(W)と精神(U)の合一を意味しており、また進化の印ともされました。
物質と精神、善と悪、男性性と女性性といった対立した二極を融合するために、人間はいかにして自らの霊性を高め進化し、世界の始まりにあった理想的な状態である、単一性を再び実現するかという、進化や世界の誕生についてがテーマとなっていきます。
男性性と女性性とは、例えば女性だけど男性性が強いなど、肉体的性別ではなく、精神的な性質を表すものです。
これは以前こちら↓で書いた、不思議な存在が言っている「統合」と同じ概念かもしれない・・・
エロス・シリーズ、WU 薔薇シリーズ、グループⅡ / ヒルマ・アフ・クリント / ヒルマ・アフ・クリント財団
二元性の対をなすものとして描かれたユリとバラは、「二元性の痛みの克服」であり、両者が一緒になることは完全性を意味しました。
大型の人物像絵画、WU 薔薇シリーズ、グループⅢ / ヒルマ・アフ・クリント / ヒルマ・アフ・クリント財団
左右対称に描かれた青と黄は、重なり合い流動しています。
2つの十字架の間にHの形象が見られますが、アフ・クリントさんはこの文字によく「高次の霊的存在」の意味を付与しました。
もしかしたらこれは、「ハイヤーセルフ」などと呼ばれる、高次の自分の魂のことでもあるかもしれない。
進化、WUS、七芒星シリーズ、グループⅥ / ヒルマ・アフ・クリント / ヒルマ・アフ・クリント財団
WUSに与えられた意味は「人間性の7つの構成」「物質への降下による経験の強化」などが含まれます。
花びらなどの植物や神話に出てきそうなモチーフ、物質と精神、精子と卵子、光と闇、陰陽、男性性と女性性などの二元性の形象、それから魂、オーラ、チャクラ、原子や光子、超ひも理論などの見えないエネルギー、DNA、輪廻転生、循環、調和、進化、拡大、宇宙、神聖さ、完全性など…、様々なキーワードが混ざり合っている気がしました。
10の最大物、グループⅣ / ヒルマ・アフ・クリント / ヒルマ・アフ・クリント財団
これが見たかったんですよ〜10の最大物!
高さ約3.2m、幅約2.4mという、天井まで届きそうなほどの巨大な絵画を、ベンチに座りながらゆっくりと鑑賞できます。
10の最大物、グループⅣ / ヒルマ・アフ・クリント / ヒルマ・アフ・クリント財団
こんなにスケールの大きな作品がずらりと並ぶ姿は、まさに圧巻の一言!本当に観れて良かった。感動しました。。
幼年期から老年期まで(No.1〜10まで)続く10作品を、ぐるりと巡るように鑑賞できるところがまた素晴らしい。
10の最大物、グループⅣ / ヒルマ・アフ・クリント / ヒルマ・アフ・クリント財団
まさに輪廻転生ですね*
きっとそこから抜けて、またさらに進化していくといった意味も込められているのではないかと思います。
ノアの方舟が辿り着いた、アララト山とも関係があるらしい。
10の最大物、グループⅣ / ヒルマ・アフ・クリント / ヒルマ・アフ・クリント財団
アフ・クリントさんの絵は、優しいパステル色で、感覚的に見られる絵なので、子供との相性も良さそう♪
うちの娘が、「この人やばいね!本当に楽しんで描いているのが分かる」と言っていました^ ^
抽象画だけど、なんだか知っているようなモチーフを見ることもできて、ポップで大衆にウケそうな雰囲気もあり、優しく可愛らしい色彩の中にも、どこか聡明さやストイックな印象すらも感じられるような……
とにかく、めちゃくちゃ良い!!笑
老年期のこの部分が気になる・・・
知恵の樹、Wシリーズ / ヒルマ・アフ・クリント / ヒルマ・アフ・クリント財団
旧約聖書の「創世記」に登場する知恵の樹ですね。
2羽の鳥が描かれていますが、男女間の欲望など性や欲望に関わる二元性がテーマの一つであり、冥界や人間界などの次元的なもの、また脳のようにも見えることから、宇宙樹との関連も指摘されているようです。
白鳥、SUW シリーズ、グループIX/ ヒルマ・アフ・クリント / ヒルマ・アフ・クリント財団
これまでと打って変わって、強めな表現ですね!
この前に2羽の白鳥が闘争しているような絵があるのですが、それがどんどん分割されて、小さな物質のような立方体になり、幾何学的な表現へ変貌していきます。
白鳥、SUW シリーズ、グループIX/ ヒルマ・アフ・クリント / ヒルマ・アフ・クリント財団
プロペラみたいな旋回運動により、対立する二極の分離と統合が繰り返されて、やがて静的な画面へ落ち着きます。
宇宙も含めて長い歴史の中で繰り返されてきた、男性性と女性性の争いとも繋がってきそうな気がします。
祭壇画、グループX / ヒルマ・アフ・クリント / ヒルマ・アフ・クリント財団
もしかしたら、この金色に輝く大きな円は、私たちの内にある純粋な魂(神)やハイヤーセルフ、または集合意識のようなものを描いているのかもしれない。
ちょっと何を言ってるのか分からない…って方は、ぜひこちら↓を覗いてみてください^ ^
アフ・クリントさんが、先ほどからずっと一貫して表現してきたテーマでもある「進化」とは、肉体的・物質的なものから精神的なものへと上昇し、
祭壇画、グループX / ヒルマ・アフ・クリント / ヒルマ・アフ・クリント財団
また、神聖なものから物質的な世界へと下降するという、2つの方向で起きます。
私たちの意識は、善と悪や光と闇のどちらも経験することで、中庸とも言える二極ではないその先にある、純粋で厚みを増した大きな意識へと進化できるのかもしれない。
グループ3、No.10-17 / ヒルマ・アフ・クリント / ヒルマ・アフ・クリント財団
これは一体、何を描いているんだろう。数学的で良くわからないけれど、美しいですね♪
アフ・クリントさんは長い間、美術史の中では高い評価を受けていませんでしたが、死後70年を経て、ヨーロッパ巡回の回顧展でその名が知られ、100万人以上を動員し、2018年にはニューヨークのグッゲンハイム美術館で、同館史上最大となる60万人超を動員し、世界的に大ブレイクを果たしました。
シリーズⅤ / ヒルマ・アフ・クリント / ヒルマ・アフ・クリント財団
カンディンスキーやモンドリアンよりも先に、抽象絵画を創案したとして「美術史を書き換える存在」とも言われているアフ・クリントさんですが、晩年は水彩画を描くいっぽうで、自身の思想や表現について記した過去のノートの編集や改訂の作業を始め、作品を本にまとめたり、死後20年経ってから公開するものに印を付けるなど、どのようにして作品や思想を後世に残すか、というところにも注力していたようです。
地図:グレートブリテン / ヒルマ・アフ・クリント / ヒルマ・アフ・クリント財団
このような、第二次世界大戦を思わせるような予言的作品も残しています。
約1,300点の作品と26,000ページ以上のノートを甥に託し、死後20年間は作品を公開しないようにと遺言を残し、1944年に81歳で亡くなります。
死後20年となる1960年代は、高度経済成長が著しく、若者文化が爆発的に変化した時代だそうです。
アート界ではマリリン・モンローの絵で有名なポップアートのアンディ・ウォーホルなどが台頭してくる時代で、まさに大量消費社会に傾倒していく時代でもあったと思いますが、アフ・クリントさんは、そんな時代がくると予想していたのでしょうか?
だとしたら、そんな時代に作品を公開することに、どのような意義を感じていたのでしょう?
もしかすると晩年の綿密な編集作業も、作品を公開するタイミングも、高次の存在から受け取った約束事だったのかもしれない。
無題 / ヒルマ・アフ・クリント / ヒルマ・アフ・クリント財団
アフ・クリントさんの絵によく登場するオウムガイは、「生きた化石」と言われるように、5億年前から絶滅せずに生き残っています。
原初の世界の始まりにあった、単一性の象徴、または永続性の象徴なのかもしれません。
余談ですが、似ているアンモナイトは絶滅して、オウムガイが生き残った理由は、生殖の方法の違いにあり、オウムガイは子供を十分に生きられる大きさに育てますが、アンモナイトは大量に子供を産み、その中で生き残れる子供がいればいいというやり方であったため、環境の変化に対応できなくなって絶滅したと考えられています。
過保護でも無関心でもなく、ちょうど良い距離感で、その子に合ったあり方で、環境の変化に対応できる力を育んでいけるような子育てがしたい^ ^
1944年10月9日に書かれた、人生最後となるこのメッセージにしびれました。。。
女性が男性と同等に社会で生きていくことが、今よりとても難しかった時代に、自分の魂とつながり、自分の役割や使命を、感じるものを、自分を律してストイックなほどに体現されてこられたアフ・クリントさんを、心から尊敬します。
こんなに素晴らしい展覧会なら、もっと早くご紹介できたら良かった!
次はいつ日本に来てくれるか分かりませんので、ご興味のある方は急いでくださいね^ ^
それでは、今日はこの辺で♪